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栄養情報

ベッドなどで同じ姿勢でいることが多い

寝たきりの方の栄養状態は、褥瘡(床ずれ)の起こりやすさと関係があると言われています。

食事のポイント

寝たきりの患者さんの多くは身体を自由に動かせない状態のため、家族の方の介護を必要とします。褥瘡(床ずれ)を予防するために栄養状態を良くすることは必須ですが、一人ひとりの身体の状態に合わせて、食べやすく、また必要な栄養を含んだ食事を用意することが大切です。
わからないことがあれば、管理栄養士さんを始め、ケアのためにサポートしてくれる医療専門家にもいろいろ聞いてみましょう。

食事を用意するにあたって

  • 消化吸収がよく、栄養のバランスのとれた食事にします
  • たんぱく質が不足しないようにします
  • ビタミンやミネラルが不足しないようにします
  • 食欲がないときは、好みに合わせながらエネルギーを確保するようにします(おやつなどを上手に利用しましょう)
  • 食事摂食量が少ない場合、食事のときの姿勢に気をつけて、なるべく飲み込みやすい料理にします
  • むせがあるときは、汁もの、スープ類は、むせないようにとろみをつけます
  • 便秘予防のために、食物繊維を含む食品も取り入れます

食事の介助のポイント

食事前

  • 目覚めていることを確認します
  • 食べるための安全な姿勢をとってもらいます(ベッドは30度以上ヘッドアップし、あごはなるべくひきます)
  • 必要な方はメガネ、補聴器、義歯を用意し、食事を五感で楽しめる準備をします
  • 落ち着いて食べられるような環境にします

食事のとき

  • 食べる前には口の中をお茶などで少し湿らせます(汚れていたら湿らせたガーゼなどで一度軽く拭き取りましょう
  • 一口の量は少なめにしましょう
  • 目の高さを合わせましょう
  • 口に運ぶときは声がけして、舌の中央から前方に食べ物を置くようにします
  • 急かさず、患者さんのペースに合わせます
  • 食事の温度(特に、熱いもの)に注意しましょう
  • むせないように注意深く見守りましょう
  • 空咳や声を出してもらったりして、気管に食べ物が入っていないか確認しましょう
  • 麻痺がある場合には、麻痺がない方に立ち食事の介助をしましょう

食後

  • 口の中をよくすすぎ、歯磨きなどの口腔ケアをして口の周りをきれいに拭きます
  • 食べたものが逆流しないよう、しばらくは横にならずに上体を起こしておくようにしましょう

栄養素について

  1. 必要なエネルギーをしっかり摂りましょう

    褥瘡(床ずれ)のあるときはないときに比べて必要量が増えるのでエネルギーの確保は大切です。主にエネルギー源になるものは、ご飯・パン・麺類、豆類、芋類、肉・魚・卵、乳製品、油脂類、デザート類などです。

  2. 必要なたんぱく質をしっかり摂りましょう

    傷が治るときには、たんぱく質の必要量が増えます。特に、たんぱく質のもとであるアミノ酸の一種、”アルギニン”は重要です。アルギニンが不足すると皮膚のもととなるコラーゲンの合成機能が低下し免疫力も低下すると言われています。ただし、腎疾患がある場合にはたんぱく質の量に注意しなければなりませんので、医師・管理栄養士に必ず相談してください。主にたんぱく質源になるものは、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などです。

  3. ミネラル類(カルシウム、鉄、銅、亜鉛など)を不足しないように摂りましょう

    特に亜鉛は、不足すると味覚障害が起こったり、免疫力が低下します。また、傷が治る過程で新しい細胞を作るのに必要な栄養素です。鉄も不足すると貧血になりやすく、組織への酸素運搬能が低下し、皮膚にも影響します。出血があればそれだけで貧血のリスクも高まりますので、きちんと補給することが大切です。銅はビタミンCと一緒に新しい筋肉組織を作るのに役立ちます。カルシウムは、骨粗しょう症の予防だけでなく、コラーゲンの合成に重要で、皮膚組織を強化する働きがあるといわれています。

  4. ビタミン類を不足しないように摂りましょう

    ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEいずれも褥瘡(床ずれ)の予防や治療には欠かせないビタミンです。皮膚の粘膜を健康に保ち、コラーゲンの合成や免疫力を高めるなどの働きがあります。ビタミンA、ビタミンCは野菜や果物に、ビタミンEは植物油や落花生、アーモンドなどのナッツ類に豊富に含まれています。できるだけいろいろな食品から補給しましょう。

  5. 水分を適量摂りましょう

    「水」は、生命活動には不可欠な物質です。高齢者では筋肉量の低下にともない、生体内に占める水分量が減少し、脱水状態に陥りやすいので十分注意しましょう。また疾患によっては、摂りすぎによるむくみを起こすこともありますので、尿量などと合わせて観察しましょう。

監修:福島労災病院 栄養サポートセンター
管理栄養士NSTディレクター・NST専門療法士 田村佳奈美先生

<参考>

  • 田村佳奈美, 褥瘡とビタミン, 褥瘡ケアUPDATE, 臨床栄養(臨時増刊号), 2008
  • 田村佳奈美, 褥瘡ポケットマニュアル, 栄養管理, 医歯薬出版, 2008
  • 大浦武彦, 床ずれ博士の在宅介護. 朝日新聞社, 2008
  • 田村佳奈美, 経腸栄養バイブル, 褥瘡, 日本医事新報社, 2007
  • 山崎文雄 編, 高齢者の食事介護マニュアル, 第一出版, 1996

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