栄養情報
ベッドなどで同じ姿勢でいることが多い
寝たきりの方の栄養状態は、褥瘡(床ずれ)の起こりやすさと関係があると言われています。
- 褥瘡(床ずれ)とは?
- 食事のポイント
褥瘡(床ずれ)とは?
褥瘡(床ずれ)は、長時間同じ姿勢で横たわったり、座ったりすることにより、身体の骨ばった部分の皮膚やその下の組織が圧迫されて、血液の流れが阻害され、組織が壊れてしまうことをいいます。医学的には、褥瘡(じょくそう)、圧迫性潰瘍などとも呼ばれます。
褥瘡(床ずれ)の症状とできやすいところ
褥瘡(床ずれ)は、皮膚の損傷の程度(深さ、浸出液の有無や量、大きさ、炎症/感染の程度など)によって数段階に分類されます。たとえば皮膚が赤くなっているような状態から、筋肉や皮下脂肪にまで損傷が及び炎症を起こしている状態までさまざまです。

褥瘡(床ずれ)は、どんなに完璧な看護や介護をしていても、寝たきりの患者さんなどではちょっとしたことで起きやすいものです。介護の状況だけでなく、患者さんの体調や皮膚の状態、年齢、栄養状態、持病や発熱・脱水などいろいろな背景が、褥瘡(床ずれ)発症の原因となります。
褥瘡(床ずれ)ができやすいところは、腰(仙骨部)、かかと、ひじなど骨ばった部分です。身体を拭くときなどに注意して見るようにしましょう。


褥瘡(床ずれ)の原因
ベッドに横たわったときや座ったとき、下になった部分が自分の体重で圧迫されると、その部分の血流が遮断されます。通常なら、人は眠っている間でも無意識に身体を動かし、圧を分散させるので褥瘡(床ずれ)はできませんが、病気や体調不良によりそれができなくなると褥瘡(床ずれ)ができやすくなります。
また、皮膚が衣類や寝具に密着する、ベッドの上げ下げで皮膚が引っ張られる、汗や排泄物に皮膚が長時間さらされる、などでも褥瘡(床ずれ)はできてしまいます。
そして、栄養が十分でないと身体の機能が正常に働かず、皮膚も健康な状態が保てなくなることから褥瘡(床ずれ)になりやすくなります。また、栄養状態が悪いと、褥瘡(床ずれ)になってしまった場合も治りにくくなります。
褥瘡(床ずれ)を起こしやすい人
褥瘡(床ずれ)はだれにでもできますが、以下のような人は特に注意が必要です。
- 自力で体位を変えられない
(昏睡状態、麻痺があったり感覚異常がある、術後や骨折で安静が必要など) - 病的骨突出がある
(寝たきりや低栄養から筋肉や脂肪、軟骨組織が減り、骨が飛び出たような状態) - むくみがある
(低栄養、腎疾患や肝疾患などにより、むくみで皮膚に水分が多くたまった状態) - 関節の拘縮がある
(関節が動かない、固まったような状態)
褥瘡(床ずれ)の対処法
褥瘡(床ずれ)の予防や治療のためのケアは、在宅で介護する方にとって負担が大きいものです。しかし褥瘡(床ずれ)の発症は、介護の方のケアだけに原因があるわけではありません。
もちろん予防が一番ですが、発症の背景には、褥瘡(床ずれ)になりやすい環境や、栄養状態を含めた全身の状態に影響される部分も大きいのです。もし褥瘡(床ずれ)ができてしまったら、その対処法については、早めに医療専門家の指示を受けましょう。
ポイントは以下のとおりです。
(1) 寝る姿勢
圧やずれ力(皮膚が引っ張られるような斜めの力)が長時間かからないようにし、寝るときの姿勢に注意します。在宅できちんと体位変換を行なうのが難しい場合は、褥瘡(床ずれ)専用の、体圧分散ベッドやマットレスを利用するとよいでしょう。
どのようなものが良いかは医療専門家に相談してみましょう。また、衣服や寝具のヨレなどにも注意しましょう。さらに、オムツの重ねすぎや不必要にベッドにバスタオルを敷くことも、褥瘡(床ずれ)を起こしやすいので注意しましょう。

(2) 治療
褥瘡(床ずれ)は、医師がその状態を診察し、どのような治療を行なうか決めます。初期段階では圧などの原因を除去すれば自然に治りますが、もう少し進んだ褥瘡(床ずれ)の場合、患部をたっぷりのぬるま湯でよく洗浄した後、症状に合わせた薬剤や被覆材(ひふくざい)等を利用して治療していきます。
感染症が起きていれば抗生物質を内服します。場合によっては手術をすることもあります。

(3) 栄養
栄養状態を良好に保つことも治療の一環です。栄養のバランスに気をつけながら、エネルギー、たんぱく質、ビタミンCや亜鉛などが不足しないようにします。
詳細は食事のポイントもご覧ください。また、栄養をきちんと摂るため、義歯や口の中の状態、食事摂取量や食欲の有無、胃腸の具合もチェックしましょう。

監修:福島労災病院 栄養サポートセンター
管理栄養士NSTディレクター・NST専門療法士 田村佳奈美先生
<参考>
- 田村佳奈美, 褥瘡とビタミン, 褥瘡ケアUPDATE, 臨床栄養(臨時増刊号), 2008
- 田村佳奈美, 褥瘡ポケットマニュアル, 栄養管理, 医歯薬出版, 2008
- 大浦武彦, 床ずれ博士の在宅介護. 朝日新聞社, 2008
- 田村佳奈美, 経腸栄養バイブル, 褥瘡, 日本医事新報社, 2007
- 山崎文雄 編, 高齢者の食事介護マニュアル, 第一出版, 1996

